無宗教葬とは
無宗教葬とは
無宗教葬とは、寺院を招かずに葬儀を執り行うスタイルの総称です。
無宗教葬が選ばれる理由
無宗教葬が選ばれる背景には深刻な「寺離れ」があります。
社会の中で寺院への支持が弱まっているのにはいくつか原因があります。
以下が主だったものではないでしょうか。
〇寺院のお布施が高額で、その基準が不明瞭であること
〇仏教の説く死後観が信じられなくなったこと
〇自分たちらしく故人を送り出したいという思い
お葬式とは、人の命の終焉に伴う通過儀礼ですから、供養の専門家としての寺院の役割はまだまだ大きいでしょう。
とはいえ、無宗教葬で葬儀を執り行う方の数は確実に一定数あります。
自由であるがために戸惑いも…
寺院の読経もない。遺族の焼香もない。
儀式を執り行うのに、先導する寺院がいなければ何をすればいいのでしょうか。戸惑うご家族がいるのも事実です。
無宗教葬を「自由葬」と呼ぶ葬儀社もありますが、自由であること、形式がないことに物足りなさや戸惑いを感じてしまうのです。
無宗教葬では何をするの?
無宗教葬では、ご寺院様の読経や親族の焼香などがありません。
では、何をして儀式を執り行うのでしょうか?
決まりはありません。それこそ自由ですから。
でも、葬儀という儀式を執り行う以上、仏式ではなくとも何らかの「儀礼」を必要とします。
よくある例として、仏教儀式の手順を別の形に代替して儀式を進めます。
〇合掌→黙祷
〇読経→故人の愛聴した音楽の静聴、楽器の生演奏、弔辞やお手紙
〇焼香→献花
ポジティブに無宗教葬をされたい方は、さらにご自身のこだわりや想いを反映した手順や演出を望まれるでしょう。
ポジティブな動機とネガティブな動機
無宗教葬を希望する方は、2つの動機に分かれるように見受けられます。
「故人らしいお葬式で送り出してあげたい」というポジティブな動機と、「宗教臭いのはいやだから、無宗教でいい」というネガティブな動機です。
ポジティブな動機の場合
ポジティブな動機から無宗教葬を希望する方は、事前に葬儀のイメージを具体化しておくことで、ご納得のいく葬儀を執り行うことができます。
どういう祭壇を飾るか。
どういう空間演出をするか。
どういう音楽を流すのか。
どういう式次第にするか。
結婚式を作り上げる過程を思い浮かべればイメージしやすいでしょうが、葬儀というセレモニーの準備や打ち合わせを時間をかけて事前にしておくことが大事でしょう。
ネガティブな動機の方は
一方、ネガティブな動機の方は、それでも直葬ではなく、あえて葬儀を執り行うことの意味をよく考えてみましょう。
寺院を呼ばないのに、それでも葬儀という「儀礼」を執り行う理由は何でしょうか。
「儀式的なものがないと区切りがつかない」
「少しでも故人と一緒に過ごす時間がほしい」
「みんなで故人のことを偲ぶ場がほしい」
無宗教葬のスタイルに決まりはありません。お客様の「想い」を私たちに託してみてください。その「想い」を「形」にいたします。
もちろん、さまざまなお客様の中には、儀式をせずに、ご自宅の畳の間に柩を安置して一晩を過ごすだけという方もいらっしゃいました。
でもこのご遺族にとっては、故人様と一晩を共に過ごすことこそが大切だったのでしょう。
こじんまりと、儀式も執り行わない葬儀でしたが、とても印象深く温かいお見送りだったと思います。
無宗教葬こそ、お客様と葬儀社の信頼関係が大事!
いずれにせよ、無宗教葬では、葬儀社の担当スタッフが成功の可否を握っています。
ご寺院様という儀式の先導者がいる時は私たちは黒子に徹しますが、ご寺院様がいないとなると、私たちスタッフこそがその役割を担うことになります。
お客様と葬儀社が信頼関係を築いて「一緒にお葬式を作り上げる」という共通認識が大切なのだと考えます。